箕面有馬電気軌道 切符
2024年9月15日 1区乗車券追加
箕面有馬電気軌道 |
ここでは、1910年(明治43年)3月10日〜1918年(大正7年)2月3日間の「箕面有馬電気軌道」時代に発行された切符について述べます。 箕面有馬電気軌道は阪急電鉄の前身であり直系の母体となる会社です。 当時の箕面有馬電気軌道では宝塚線と箕面線が運行されていました。 |
乗車券 |
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大正6年に宝塚駅で発行された1区乗車券です。 中央に箕面有馬電気軌道のローマ字表記での頭文字の「M」と「A」を組み合わせた社章と、 外枠に桜・紅葉が、それぞれオレンジを主体とした色で描かれています。 1区券を示す赤太線が右上から左下にかけて1本斜めに入っています。 券面には右書きで「壹區券 税金共 金六錢」と、縦書きで各区間の境界駅が書かれています。 大阪梅田駅から宝塚駅に向かう下り方面は黒地に白字で右から順に、三國、石槗、箕靣、花屋敷、宝塚が、宝塚駅から大阪梅田駅に向かう上り方面は白地に黒字で右から順に、 大阪、三國、箕靣、石槗、花屋敷が書かれています。 |
往復乗車券 |
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大正期に発行された1区往復乗車券です。向かって左手が石橋駅(現石橋阪大前駅)で発行された券、右手が池田駅で発行された券です。
もともと台紙に貼られていたため、裏面は一部欠けがあります。 中央に箕面有馬電気軌道のローマ字表記での頭文字の「M」と「A」を組み合わせた社章と、外枠に桜・紅葉がそれぞれ青色で描かれています。 1区券を示す赤太線が右上から左下にかけて1本斜めに入っています。 券面には右書きで「壹區券 通行税共金拾壹錢 發行日共二日間通用」と、縦書きで右から順に各区間の境界駅である 大阪、三國、石槗、箕靣、花屋敷、宝塚が書かれています。 |
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明治・大正期に梅田駅(現大阪梅田駅)で発行された2区往復乗車券の復券です。もともと台紙に貼られていたため、裏面は一部欠けがあります。
もともと台紙に貼られていたため、裏面は一部欠けがあります。 デザインは1区券と同じで、2区券を示す赤太線が右上から左下にかけて2本斜めに入っています。 券面には右書きで「貳區券 (通行税共)金拾九錢 (發行日共)二日間通用」が書かれています。 縦書きで書かれている境界駅で1区券と異なる点は、花屋敷が池田となっている点です。 |
回遊乗車券 |
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大正4年又は5年に梅田駅(現大阪梅田駅)で発行された「回遊乗車券」です。
中央に箕面有馬電気軌道の社章と、左側に宝塚新温泉、右側に箕面公園の滝が描かれています。
券面には右書きで「(全線壹往復) 通用二日間 通行税共金五拾壹錢」が書かれています。
券面の上側・下側には全線の駅名が書かれており、過去に存在した「北野」「新淀川」「平井」駅があります。 本券の発行年は切符に書かれていませんが、大正3年3月に開業した「売布神社」があって、大正5年8月に開業した「雲雀丘」が無く、 発行日が1月13日ですので、大正4年又は5年に発行されたと推測しました。 本券の裏側には「一 本券は往復停留塲ノ順路に限り何レニテモ乘降シ得ラルモノトス」 「一 本券ハ御乘降ノ際必ス改鋏致事」と書かれています。 有効期間内であれば何度も往復出来るという訳ではなく、現在の往復券に途中下車を付加した効力があったと思われます。 |
貨物切符 |
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明治・大正期に発行された5銭貨物切符です。発行駅は不明です。桜・紅葉・社章と、額面の数字が緑色で描かれています(社章の周囲のデザインは不明)。
この5銭の数字が何を示しているかは不明ですが、荷物重量か利用区間を反映したものと思われます。 縦書きで各区間の境界駅と思われる 梅田、三國、岡町、石槗、 箕面、池田、中山、宝塜が書かれています。 通常の乗車券に対し、梅田駅が大阪表記ではなく、箕面駅の「面」が常用漢字、宝塚駅の「塚」が旧字体の「塜」になっています。 |
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明治・大正期に発行された8銭貨物切符です。発行駅は不明です。本券には、5銭貨物切符のデザインが水色で描かれています。
本券の裏面には「一 本券は御降車ノ際係ノ者ニ御渡被下度候」と書かれています。 ※被下度候=くだされたくそうろう:〜して下さいの意 |
回数券 |
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明治・大正期に発行された「普通 回数乘車券 20回分」の表紙です。
裏面は無地、発行年月日は不明で、回数券本体がどのような切符であったかも不明です。
中央に箕面有馬電気軌道のローマ字表記での頭文字の「M」と「A」を組み合わせた社章と、外枠に桜・紅葉・梅が描かれています。
券面には右書きで「通行税共 九拾五錢」と書かれています。20回分で95銭であることから、
1区間の運賃は5銭であり、19回分の料金で20回分使える設定になっていたと思われます。
券面下部には右書きで「大阪活版製造所印行」と書かれてあり、現在の大阪市中央区にあった大阪活版所で印刷されたことが分かります(印行は「印刷して発行する」の意)。 |
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明治・大正期に発行された区内回数券です。発行駅は不明です。 券面には右書きで「區内 回數券」、縦書きで各区間毎の代表駅である 大阪、池田、宝塚と、箕面有馬電気軌道の社章が記載されています。 下地は薄い水色です。 大阪は「梅田、北野(現廃止)、新淀川(現廃止)、十三」の各駅間、 池田は「池田、花屋敷(現雲雀丘花屋敷と統合)」の各駅間、 宝塚は「宝塚、清荒神」の各駅間、計3つの区のうち1区分が利用出来たものと考えられます。 |
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明治・大正期に発行された1区間回数券です。
券面には右書きで「壹區間 回數券」と、利用区数を示す2、3、4が券面両側に縦書きで1列ずつ書かれています。
区数については利用分のところにパンチを入れ、1区間回数券×利用数を1枚の切符として運用されていました。
右・左に区数が1列ずつあるのは、上り(梅田方面)・下り(宝塚方面)を示していたと考えられます。
回数券の背景には、中央に箕面有馬電気軌道の社章、左側の円に箕面の滝、右側の円に神社・寺又は町並み、中央と周囲に桜と紅葉が描かれています。右側の絵がどこを示すものかは不明です。 なお、本券のデザインは阪神急行電鉄に社名変更されてからも社章以外踏襲されています。詳しくは、「阪神急行電鉄時代 回数券」をご覧下さい。 |