京阪電気鉄道時代 定期券・企画券・優待券

2012年3月25日更新 定期券・企画券・優待券のページを新規開設

京阪電気鉄道時代 定期券
左:学生定期乗車券(通学定期) 表面 右:定期券 裏面

昭和11年に発行された「天神橋-淡路」間の「學生定期乘車(通学定期)」です。やや厚手の紙となっています。 左側に縦書きで発行日と開始日、中央に上から順に、発行番号・定期区分・区間・期限・通用期間と金額・氏名と年齢が書かれています。 地紋には、京阪電気鉄道の「でんてつ けいはん」「KER」が書かれています。

裏面の但書きには以下の文章が右書きで書かれています。

 1.御乘降のときは必ず之を係員に見せて下さい
 2.用期間が切れたり不用になつたりしたときは必ず御し下さい
 3.本紛失の際は發行驛迄御知らせ下さい
 4.下の場合には之が無効となるばかりでなく賃と割增金を支払はねばなりません
 (イ)他人名義のものを使はれたとき
 (ロ)記載事項を塗抹攺竄せられたとき
 (ハ)用區間外の區間に使用せられたとき
 (ニ)其の他鐵營業法の罪を犯されたとき
  京阪電氣鐵株式會(   驛發行)

左:普通定期乗車(通勤定期) 表面 右:裏面

昭和9年に発行された「京阪京都-桂」間の「普定期乘車(通勤定期)」です。 券面は上記学生定期乗車券と同じで、下地の地紋の色が青色となっている点が異なります。
京阪電気鉄道時代 企画券
千里山遊園の入園券が付加された往復乗車券(見本)です。乗車駅から千里山遊園(現:関大前)駅まで往復出来ます。 往券には縦書きで「千里山園ゆき」、 復券には「千里山園より」「千里山園 入園券」と、 横書きで「用二日」が書かれています。 地紋には、碁盤目状の白黒のデザインと菊の花が描かれています。

愛宕山鉄道(現廃止)の鉄道線と鋼索線(ケーブルカー)との連絡乗車券を兼ねたスキー回數乘車(見本)です。 天神橋駅・十三駅から愛宕まで利用出来る回数券です。この回数券でスキーまで出来るかどうかについては不明です。
切符に印字されている「清瀧」駅は鉄道線と鋼索線の乗換駅、「嵐山」駅は京阪・愛宕山鉄道との連絡駅となります。 (※「清瀧」の「瀧」の最終画「三」は「テ」)
ここで言うスキーとは「愛宕スキー場」のことを指します。 戦時中に愛宕山鉄道が不要不急線に指定され廃止されたことにより、同スキー場も閉鎖されています。

左:天滿橋(天満橋)駅発行の團体數取券 右:裏側

昭和14年に天満橋駅で発券された、「天滿橋-八幡」の団体数取券の往復券です。 「用發賣當日共二日」「改鋏前切離無効」の記載があります。 地紋には、京阪電気鉄道の「でんてつ けいはん」「KER」が書かれており、京阪本線でも新京阪線と同様の地紋が使われています。

左:紀元二千六百年記念巡拝乗車券表紙 中央:同内側下部乗車券 右:同内側上部路線図

昭和15年に発行された企画乗車券である「紀元二千六百年記念 桃山御陵 石清水八幡宮 湊川神社 橿神神宮拜乘車劵」(券の刀は力)の見本券です。 表紙には橿原神宮と思われる神社と鳥居の挿絵が描かれています。地紋には、京阪電気鉄道の「でんてつ けいはん」「KER」が書かれています。
紀元2600年は西暦で言えば1940年(昭和15年)となります。2600年という節目を祝うために、皇室に関連する関西の神社を参拝出来るこの企画乗車券が作られました。 当時は第二次世界大戦の最中であったことから、国家が皇室関連の神社への参拝を奨励していた背景があり、各鉄道会社も輸送に力を入れたとあります (参考:Wikipedia)。

乗車券内側上部路線図の下部には以下の注意書きがあります。京阪電気鉄道の略称を京阪電鐵(けいはんでんてつ)と表記しているのが特徴です。
  本ハ表紙附の儘デナイト無效トナリマス
  本デ行先及ビ經路ノ變更ハ出來マセン
  又一部御不乘ノ場合モ賃拂ハ致シマセン
    京阪電鐵發行

本券は、当時の鉄道名で言うと、阪神電気鉄道・阪神急行電鉄・大阪鉄道・大阪電気軌道(略称:大軌)・奈良電気鉄道(略称:奈良電)(後者三鉄道は、後の近畿日本鉄道)を跨いでいます。 現在で言えば「奈良・斑鳩1dayチケット」に相当します。

本券の使用方法はやや独特です。 最初は京阪本線の三條駅又は新京阪線の京阪京都駅から、阪神急行電鉄の十三駅を経由して神戸駅(現:三宮駅)又は阪神電気鉄道の田駅を経由して元町駅へ行く乗車券を使用します。 乗車券には「用發賣當日共四日 京阪中下車指定驛 阪神阪中下車ナシ」とあり、京阪両線は指定駅なら途中下車可能ですが、阪神・阪急は途中下車は出来ないとあります。 ここでは阪神急行電鉄の略称である「阪急」が使われいます。 京阪本線ルートならば石清水八幡宮に行けますが、新京阪線利用の場合には参拝出来ません。

次に、神戸駅又は元町駅から梅田駅へ出て、何らかの交通手段で大阪鉄道の大阪阿部野橋駅又は大阪電気軌道の上本町駅へ行く乗車券を使用します。 梅田から各駅への交通手段はバスか大阪市電と思われますが、本券には利用交通機関の指定はありません。 ただし、「本ハ大阪ヨリ御乘車ノトキハ大阪阿部野橋又ハ上本町驛係員ニ乗車ノ際御渡シ下サイ」という切り離し可能な乗車券が付いています。

次に、大阪阿倍野橋駅又は上本町駅から、後者の場合櫻井線(現:近畿日本鉄道大阪線)経由で、橿原神宮驛駅(現:橿神神宮駅、当時橿神神宮駅駅と駅が2つ付いていた)へ行く乗車券を使用します。

次に、橿神神宮驛駅から奈良駅へ行く乗車券を使用し、最後に奈良駅から西大寺駅(現:大和西大寺駅)を経由して奈良電気鉄道京都駅へ行く乗車券を使用します。

最後まで使い切ったあと、本券で元の駅に戻ることが出来るのか否かは不明です。
京阪電気鉄道時代 優待券
左上:優待乘車劵 右上:裏面 左:地紋

昭和18年に発行されたと思われる新京阪線で利用可能の「優待乘車劵」です。やや厚手の紙となっています。 「券」の「刀」が「力」となっているのが特徴的です。 会社名が縦書きで「京阪電氣鐵道株式會社」と書かれています。通用期限が「昭和拾八年拾壹月末日」となっていることから、 阪神急行電鉄と合併前の最後の優待券となります。

切符の地紋は京阪電気鉄道の社章が周期配列になったものになっており、「でんてつ けいはん」「KER」とは異なっています。

裏面の「御注意」には以下の文章が縦書きで書かれています。
 一、本ノ御使用ハ記名御本人ニ限リ候
 一、掛員檢札ノ際ハ御示シ可被下候
 一、用期間經の節ハ御返戻可被成下候
 一、本ハ再ビ發行不仕候

 ※可被下候=くださるべくそうろう:~下さいの意
 ※可被成下候=なしくださるべくそうろう:~して下さいの意
 ※不仕候=つかまつらずそうろう:~しませんの意

「切符・カード」ページに戻る

Copyright 1998-2025 究極の阪急電鉄 Ultimate Hankyu Railway. All Rights Reserved. uhankyu.com