阪神急行電鉄 切符 乗車券

2011年4月30日更新 6区、8区乗車券を追加

阪神急行電鉄
 ここでは、1918年(大正7年)2月4日〜1943年(昭和18年)9月30日間の「阪神急行電鉄」時代に発行された切符について述べます。当時の阪神急行電鉄では 宝塚線、箕面線、神戸線(梅田〜神戸・上筒井)、伊丹線、今津線、甲陽線、北野線が運行されていました。京都線とその支線は、 北大阪電気鉄道・新京阪鉄道(のちに京阪電気鉄道)により運行されており、阪神急行電鉄にとっては他社線扱いでした。よって、切符に 記載されている駅は、前者の神戸・宝塚線系統だけです。


阪神急行電鉄 十三・梅田高架橋 絵葉書 (無断転載禁止)
(大 阪)電車交の頻繁なる阪~急行高架線
The busy elevated line of Hanshin Kyuko Electric Car Company, Osaka.
乗車券
左:宝塚線用1区乗車券 右:左記裏面側

昭和2年に池田駅で発行された宝塚線用の1区8銭乗車券です。梅田駅の記載が切符では「大阪」となっています。 右書きで「通用発賣當日限 神戸線ニハ通用セズ 壱區券金八錢 途中下車前途無効」の記載があります。 券面中央には、阪神急行電鉄の社章(大阪市と神戸市の市章を組み合わせたもの)、紅葉、桜、中央に1区を示す太い横線が赤色で描かれています。 「石橋」の「橋」は「槗」、「箕面」の「面」は「靣」です。 本券には偽造防止の「透かし」が入っていません。

左:1区乗車券(神戸駅発行、旧上筒井駅) 右:左記裏面側

昭和4年に神戸駅(旧:上筒井駅)で発行された1区乗車券です。右書きで、「壹區券 金拾錢 用發賣當日限 所定乘継以外下車前無効」 の記載があります。1区券を示す一本の赤いラインがジグザグに入っています。本券には透かしは入っていませんでした。

左:宝塚線用1区小児乗車券 右:左記裏面側

昭和5年に梅田駅で発行された宝塚線用の1区4銭小児乗車券です。梅田駅の記載が切符では「大阪」となっています。 右書きで「通用発賣當日限 神戸線ニハ通用セズ 壱區券金四錢 途中下車前途無効」の記載があります。券面中央に社章と 「小兒」の字が右読みで書かれ、左上から右下にかけて赤い斜め線が描かれています。 「石橋」の「橋」は「槗」、「箕面」の「面」は「靣」です。

梅田駅で発行された宝塚線用の小児乗車券を裏側から光を当てると、阪神急行電鉄の 社章が右上部と左下端に透かしとして浮き上がってきました。当時、切符の偽造防止のために透かしを入れていたようです。

左:宝塚線用1区乗車券 右:左記裏面側

昭和9年に発行された宝塚線用の1区8銭乗車券です。発行駅は不鮮明のため不明です。梅田駅の記載が切符では「大阪」となっています。 前述の昭和2年に発行された1区乗車券とほぼデザインは同じですが、社章の線の太さが細めであり、後の京阪神急行電鉄・阪急電鉄の社章と同一となっています。 また、配色が赤から青へと変更されており、偽造防止の「透かし」が入っていました。

左:神戸市内券(神戸駅発行) 右:左記裏面側

昭和14年に神戸駅(現:三宮駅)で発行された6銭「神戸市内券」です。当時の神戸市内の駅は、Wikipediaで確認できた限りにおいてですが、 神戸・春日野道・西灘・上筒井・六甲と思われます。右書きで「通用発*賣當日限 中下車前無効(発は發のくずし字)」の記載と、 神戸、上筒井を四角でくくって反転させた駅名(上筒井神戸)が縦書きで記載されています。
「はんきゅうでんしゃ地紋」 乗車券
左上:貳區券(岡町駅発行) 左下:裏面 右:地紋 

昭和19年に岡町駅で発行された2区券です。2区券を示す二つの赤いラインが中央に水平方向に入っています。 右書きで「用発賣當日限 中下車前無効」の記載があります。 地紋は、社章と右書きの「はんきゆうでんしや」の周期配列となっており、 当時阪神急行電鉄の略称であった「阪急電車(はんきゅうでんしゃ)」がそのまま地紋に採用されています。
本券は京阪電気鉄道と合併した昭和18年以降のもので、本来ならば「けいはんしんきゅうこう」の地紋なのですが、 戦時中であったこともあり旧地紋の在庫品でまかなっていた可能性があります。昭和14年の時点で大きな社章が描かれた地紋であったことから、 この「はんきゆうでんしや」の地紋は短命に終わったのでないかと推測されます。

左:八區券(梅田駅発行)と裏面 右:六區券(宝塚南口駅発行)と裏面 

左側の乗車券は、昭和18年に梅田駅で発行された8区乗車券です。8区券を示す1本の太い赤色線と3本の細い線が中央に水平方向に入っています。 地紋は赤色で描かれています。
右側の乗車券は、昭和18年に宝塚南口駅で発行された6区乗車券です。6区券を示す1本の太い赤色線と1本の細い線が中央に水平方向に入っています。 地紋は緑色で描かれています。
地紋の色は赤と緑の2種が存在し、日によって使い分けられていました。推測ですが、昭和18年9月の場合は、偶数日が赤、奇数日が緑と思われます。

左:壹區券(梅田駅発行) 右:裏面

昭和19年に梅田駅で発行された小児用1区券です。1区券を示す赤いラインが左から斜め方向に入っています。 「小兒」の字が大きく赤字で右書きで書かれています。
本券は京阪電気鉄道と合併した昭和18年以降のもので、本来ならば「けいはんしんきゅうこう」の地紋なのですが、 当時阪神急行電鉄の略称であった「阪急電車(はんきゅうでんしゃ)」がそのまま地紋に採用されています。

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