LED表示幕撮影方法
2014年7月7日 表示幕領域の分割数修正

はじめに
阪急9000系・9300系や、リニューアルされた7000系・7300系にLEDを用いた表示幕が採用されている。 LED表示幕はメンテ・汎用性で優れている面がある一方で、写真を撮る側にとっては表示が切れる(幕に横ラインが入る)、ずれるといった、写真写りが悪くなる面も持っている。 本特集では、このLED表示幕をきれいに撮る方法について報告する。
LED表示幕の動作原理と実験内容
LEDとはLight Emitting Diodeの頭文字を取ったもので、発光ダイオードと呼ばれている。 発光ダイオードは電流を流すと光を放つ半導体のことである(詳しい原理は省略する)。 表示幕にはLEDがマトリックス状に多数配列されており、フルカラーLEDの場合は赤・緑・青の3色のLEDが配列されている。 LED表示幕の動作原理は液晶TVと似ており、阪急車の場合は、表示幕領域を上下3分割し、分割された領域内のLEDを上の行から下の行にかけて順次高速走査し点灯させている(詳しい原理はこちら)。

難しい話はここまでで、簡単に言えばLED表示幕は人間には見えないくらいの速度で高速点滅している、というものである。 したがって、シャッター速度によっては、点滅の「滅」の瞬間を撮ってしまう恐れがあるということである。

そこで、以下のようなケースを想定し実験を行って最適なシャッター速度を求めてみた。
 @被写体が静止している場合:シャッター速度を1/500秒、1/350秒、1/250秒、1/180秒、1/60秒で、9001列車を撮影
 A被写体が約100km/hで高速移動している場合:シャッター速度を1/320秒、1/250秒、1/160秒で、9300系を撮影
 B被写体が約100km/hで高速移動している場合で編成を長く見せて撮影した場合:シャッター速度を1/320秒、1/250秒で、9300系を撮影

結果 @被写体が静止している場合
1/500秒、1/350秒では2本のラインが入ってしまい、表示幕が途切れている。 1/250秒、1/180秒では僅かに薄い黒のラインが入って表示されている(=完全スキャン×複数回+一部切れるスキャンの組み合わせとなっている)が、視認性に問題はない。 1/60秒では完全に表示されている。
項目 1/500秒 1/350秒 1/250秒 1/180秒 1/60秒
全体像
表示幕

結果 A被写体が約100km/hで高速移動している場合
1/320秒では2本のラインが入ってしまい、表示幕が途切れているが、文字ズレは若干起きている程度である。 一方で、1/250秒では幕は全部写っているものの文字ズレが発生している。 1/160秒では文字ズレが大きい上、被写体ブレが顕著に発生してしまっている。
当サイト管理人の主観ではあるが、写真として許容出来るのは1/320秒、1/250秒の両方と言える。
項目 1/320秒 (1280x854) (1920x1280) 1/250秒 (1280x854) (1920x1280) 1/160秒 (1280x854) (1920x1280)
全体像

項目 表示幕
1/320秒
1/250秒
1/160秒

結果 B被写体が約100km/hで高速移動している場合で編成を長く見せて撮影した場合
編成の側面をなるべく見せるようにするために進行方向に対して角度を付け、編成を長く見せて撮影した結果である。 1/320秒では2本のラインが入ってしまい、表示幕が途切れているが、被写体ブレは最小限に抑えられている。 一方で、1/250秒では文字ズレが大きく、被写体ブレも発生している。
当サイト管理人の主観ではあるが、写真として許容出来るのは1/320秒と言える。
項目 1/320秒 (1280x854) (1920x1280) 1/250秒 (1280x854) (1920x1280) 1/250秒(実験Aの参考画像)
全体像

項目 表示幕
1/320秒
1/250秒

総括
当サイト管理人の主観ではあるが、阪急のLED表示幕を撮影する場合には、
 ○被写体が静止している場合は1/250秒のシャッター速度かそれより遅い速度
 ○被写体が約100km/hで高速移動している場合は1/320秒〜1/250秒の速度で、進行方向に対して角度を付けるにつれて"早めの"シャッター速度
をそれぞれ選べばきれいに撮影出きるので参考にして欲しい。
(本レポートはきれいに撮影出来ることを保証するものではありません)

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