阪神急行電鉄 沿線案内 昭和6年 その2

2009年1月10日更新

D地図「清荒神〜仁川」
宝塚駅周辺には、宝塚新温泉、宝塚ホテル、宝塚会館(参考URL)、宝塚ゴルフ場などの 観光・娯楽施設が他の駅よりも多く書かれており、箕面駅に次いで観光色の強い絵になっています。
かつて鉄道線の開通を目論んでいた有馬方面へは、バス(乗合自動車)と思われる細い赤線で示されており、そのさらに先は 六甲山ホテルへと向かっています。
E地図「塚口〜芦屋川・今津線(仁川〜今津)・伊丹線」
[西宮北口沿線]
西宮北口駅は「西ノ宮」と「ノ」の入った駅名で示されおり、今津駅の左隣に書かれている市名も「西ノ宮市」と書かれています。 本来ならば「西宮」が正しいのですが、省線(旧国鉄・現JR)では表記を「西ノ宮」としていたことから、このように「ノ」の字入りにて書かれたものと 推測されます。
[塚口沿線]
塚口駅から南へ尼ヶ崎(尼崎)へ伸びる線は、かつて開業を目論んでいた線でしたが、未成線で終わっています。 尼崎から宝塚への鉄道ルートは、阪神電気鉄道が進めていた宝塚尼崎電気鉄道(尼宝電鉄、未成線)に対抗するために構想されたものでした。
[海岸]
地図南側の海岸沿いには、阪神急行電鉄の他に、北から順に省線、阪神電気鉄道国道線(現廃止)、阪神電気鉄道本線が描かれています。 また、山手側の観光地が多く描かれている中で、海側の観光地である「浜芦屋海水浴場」と「香枦園海水浴場」が描かれています。
F地図「岡本〜神戸(上筒井)」

[六甲沿線]
六甲駅には六甲山へのアクセス経路が3種書かれており、バス、六甲登山ロープウェイ(六甲登山架空索道、当時阪急系列)の六甲登山ケーブル(旧六甲越有馬鉄道、現六甲摩耶鉄道 、当時阪神系列)がありました。 阪急系列であった六甲登山ロープウェイの挿絵は直接六甲山へアクセス出来るように描かれていて、六甲山への観光客確保のための阪神への対抗が見られます。 このうち、六甲登山ロープウェイは太平洋戦争で不要不急線として廃止となっています。後の阪急は、阪神と経営統合するまでバス主体で観光客の確保をしています。
[神戸(上筒井)沿線]
当時の神戸駅は後の上筒井駅でした。六甲と神戸の間から出ている線が現在の三宮駅に至る線です。ちょうど分岐しているところが西灘駅(現王子公園)となります。
神戸駅の近くには摩耶ケーブルが描かれています。六甲登山ケーブルと同系列ですので、阪神と競合関係ではありますが、観光ルートは一つしかないために 強調して赤線で描かれたものではないかと推測されます。
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